コーチングでどのように思考力が鍛えられるか?

kimino☆schoolでは、コーチング手法を取り入れた学習指導を行っています。
コーチング手法を取り入れているのは、さまざまなメリットが期待できるからですが、中でも大きな期待を寄せているのが、思考力を鍛える効果についてです。

ここでの「思考力」とは、「主体的、能動的、論理的に課題を発見し、解決する力」のことを差します。目標を設定して効率の良い学習方法を自分自身で考えるときや、応用問題や発展問題を解くときに直接役に立つ能力です。他に、友だちと良好な人間関係を築く際や、将来的に社会に出て仕事で大きな成果をあげる際にも役に立つ能力です。

今回の記事では、コーチング手法によってどのように思考力を鍛えることができるかについて解説します。

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1、対話を重視するコーチング

当校kimino☆schoolでは、学習指導に当たってコーチングプロセスによる指導を行っています。
コーチングと対比される指導方法としてティーチングがあります。ティーチングとは、いわゆる従来の学習塾や学校で多く実施されている指導方法のことです。ティーチングとコーチングのもっと大きな違いの一つはティーチングが片方通行の指導であるのに対して、コーチングは双方向の指導であることです。コーチングの双方向性について解説します。

1-1 コーチングは対話を重視する指導

ティーチングは、従来からよく利用されている先生一人対生徒多数の講義形式の指導形式のことをいいます。先生が、自身の持っている知識を生徒たちに伝えることが授業の基本になりますので、話をする時間の比重としても生徒側よりも先生が多くなるのが一般的です。

一方の、コーチングでは、生徒一人対先生一人で対話を重ねて生徒の中から答えを引き出していく指導方針になります。
当教室の授業でのコーチングによる対話は、アイスブレイクと前回の授業や課題の振り返りからスタートします。
アイスブレイクとは生徒の気持ちをほぐすいわゆる雑談のことで、週末の過ごし方や趣味のことなど、生徒が興味を持って自分から気軽に話しやすいテーマについて、先生から簡単な問いかけをします。

授業や課題の振り返りについては、小テストで理解度を確認すると同時に、生徒自身がどの程度達成できたと感じているかを重視して質問をします。
宿題の達成度がどの程度だったかを自己評価してもらい、その満足度を高めるためにどのようにすればよいかについて問いかけます。達成度で不満が残った点の原因や改善案について生徒とともに考え、実行できるように計画を立てます。(例えば部活で疲れて学習の時間と集中力が取りづらいという生徒に対しては、朝早く起きて学習する方法や学習時間を短く小分けにして机に向かうときのハードルが高くなりすぎないように工夫する方法など複数の案を提案し、その中で生徒が続けられそうな方法を一緒に選ぶ、という作業を行います。

以上のように、対話を重ねながら、先生は生徒の学習意欲や到達度についての把握を試みます。
それと同時に、生徒が前向きに意欲をもって授業に臨めるように声がけやモチベーションの向上を図っていきます。さらに、課題や改善案を生徒自身が気付けるように質問を投げかけていきます。

ティーチング型の指導の場合には、英単語の小テストを実施して、満点が取れなければ追試を行ったり、宿題を課したりするなど結果に着目をした指導になりますが、コーチング型の指導の場合には、生徒がどのように課題と向き合ったかの過程を重視します。

この対話では、先生と生徒の話す割合は5対5程度ですが、内容によっては生徒自身の発言の比重が大きくなることもあり、生徒自身が質問の意図を受け取って、自身の言葉で状況を説明することによって課題の解決策が見えていきます。当校の指導でも生徒9対先生1程度の割合になることもあります。

1-2 双方向のやり取りを繰り返すからこそ鍛えられる能力がある

以上の流れのように、先生と生徒との双方向のコミュニケーションによってコーチング指導を実施します。
ティーチングの場合には必要な知識を、効率よく確実に体得するのに適していますが、コーチングの場合には自身の知識を深め、自ら課題を発見したり、解決策を模索したりする方法について考えだすのに非常に適しています。そして、その鍛えられる能力こそが当校が重視している論理的思考力といわれるものです。

2、コーチングによって鍛えられる思考力

コーチングにyと手鍛えられる思考力について、詳しく解説します。
具体的に、コーチング指導によって鍛えられると期待されるスキルは以下の3点です。

  1. 論理的思考力(国語力)
  2. 主体性
  3. 客観的視点

それぞれについて、順に解説します。

2-1 論理的思考力(国語力)

国語力は、自分の言葉や相手の言葉、書かれていることを論理立てて把握し、考えを組み立てることを指します。
科目の国語の点数につながることはもちろんですが、ここでいう国語力はすべての科目やものの考え方につながるスキルのことを指しています。ですので、国語の学習の時間だけではなく、算数・数学を始めとした他の科目の学習でも、重要視して国語力を指導しています。

コーチングとは、先生と生徒が対話を重ねて目的を達成するための意識や価値観を共有して行動するためのプロセスのことですが、対話を重ねながら生徒の中からアイデアを引き出していくスタイルなので、生徒たちがアイデアを主張したり、課題を相談したりするためには物事を論理的に把握し、伝える能力が必要とされます。したがって、コーチングによる指導の効果をより大きくするためにも、生徒たちの国語力を伸ばしていくことが非常に重要でもあります。また、国語力はそのまま当校の指導で最も重視している論理的思考力にも直結します。

国語力を伸ばしていくために、当校Kimino☆schoolでは以下の点を重視しています。

  • 「なぜ」を追求する
  • 日ごろの学習で、「どうしてそういう結論に至ったのか?」を先生からできるところまで細かく質問しています。
    正解、不正解に関わらず、「なぜその解答に至ったのか?」」という質問を繰り返すことで問題に対する理解度が深まります。また、「なぜ?」を繰り返すことにより、生徒は常に因果関係を意識しますので、必然的に論理力、国語力を高められます。

  • 自問自答を促す質問をする
  • 例えば、テストの結果を振り返る際に、「どうやったら、満足する結果が得られるかな?」「テストの結果を受けて、素直な感想をノートに書いてみよう」といった具合に、生徒が自問自答を繰り返せるような質問を意識してたくさん投げかけます。これらの質問は明確な答えがなく、また短い文章ではっきりと答えられるような種類の問題でもないので、きちんと答えるためにはかなり高度な国語力が求められます。
    例えば、先生の側から選択肢を3つ提案したり、答えのヒントを与えたりしながら、自問自答の仕方についてのスキルも高めていきます。

  • 途中経過を記入する
  • 問題を解く際に、最終的な答えだけを書くのではなく、必ず途中の計算式や考え方を細かく記載するように指導しています。
    途中経過を書くことによって、自分がどこでつまずいてしまったのか、次に間違えないようにするためにはどこに気を付ければよいのか、について後から把握しやすくなる、というメリットもありますが、自分の考えを文章や計算式で書くことを習慣づけることによって、物事を順序だてて論理的に考えるトレーニングにもなります。

2-2 主体性

主体性とは、子どもが自ら考えて行動することを差します。
従来の日本の教育ではあまり重視されてこなかった項目ですが、これから社会がグローバル化・IT化していくにつれて重要性が増しているといわれています。

今の子どもたちが大人になるころには、多くの仕事を人間に代わってロボットが作業するように変わっているといわれています。今後、10年~20年の間に日本の仕事の約半分がロボットや機械にとって代わられるという野村総研の発表もありましたが、これからは与えられた課題を解決するよりも課題を発見する力が必要とされる時代になるといわれています。

当校では、主体性について直接指導をしているというわけではありませんが、コーチングの手法によって論理的な思考力を身に付けるのに伴って主体性も同時に身に付けていけると考えています。当校のコーチング手法は、あらかじめ決まった解答を模範通りに答えるのではなく、先生が呼び掛けて子ども自身の中にあるアイデアを引き出す学習手法です。

コーチングで先生が生徒に解答を求める際には、正解か否かはさほど重要なことではありません。重要なことは、生徒自身が出した答えに納得しているか否かであり、どのように、どういった理由でその解答にたどり着いたかということです。そして、それを自分自身の言葉で説明できるか否かです。従来の教育では、教える側に決まった答えが存在したのに対して、コーチングによる指導では、生徒の中に答えを育んでいくイメージです。

答えを育むために、当校では、常に「失敗するのは恥ずかしいことではない」ということを繰り返し言っています。また、コーチングの手法に基づいて、生徒の解答や意見に対しては決して否定しません。委縮してしまったり、先生の求める答えを出そうと考えたりしてしまうと、自由で論理的な考えが生まれないからです。

例えば、テストの点が伸びない生徒に対しても、なぜ得点が取れなかったかというスタンスではなく、今後期待する得点を取るためにはどう行動すればよいかということを考えるように指導します。生徒たちは、否定的な言葉ややり方の一方的な強要を受けずに、望む結果を得るための方法ややり方について主体的に考えます。当校Kimino☆schoolの先生たちは、生徒たちがより納得のいく答えにたどり着けるよう、サポートする、というスタンスを取ります。

こうした日ごろの指導の繰り返しによって、生徒たちは失敗したり間違った解法であったりした場合でも恥ずかしがらずにまず試してみる、という姿勢になります。また、これまで見たことのない難問にあたった時にも冷静に生徒自身が持っている知識やスキルで問題を解こうと試みる意欲・主体性が芽生えます。それらは、難しい問題に直面したときに子どもたちが主体的に考えることの土台となり、将来的には社会で求められている、課題を発見する能力に繋がっていきます。

2-3 客観的視点

コーチングによる指導を繰り返していると、客観的な視点が養われていきます。
コーチングによる指導の流れは、成績の向上や志望校合格などの目標を定め、目標到達のために今の生徒自身の学力や課題を把握し、目標達成のために何をするべきかについて先生と対話を重ねる、という手法です。

このプロセスの中で、生徒自身の学力や課題を把握するためには、自身の立ち位置をその都度客観的に把握する必要があります。この場合の学力の把握は、単に学年で何位という数値に留まらず、どこが理解できていてどこが理解できていないか、足りていない部分はどこか、といったことを掘り下げて把握することが必要で、掘り下げるためには先生からの質問が重要な意味を持ちます。
また、立ち位置はその都度変化しますので、継続的に把握する習慣が重要になります。

3、コーチングによって思考力を伸ばすために工夫をしていること

当校Kimino☆Schoolでは、生徒の思考力を伸ばすために、いくつかの工夫をしています。
コーチングの手法はさまざまですので、当校のスタンスを確認していただくためにも工夫ポイントを参考にしていただければ幸いです。

3-1 モチベ―ションアップ

コーチングを行う上で最も基本的になることは、生徒が自分から考え、言葉を発するということです。そのために不可欠なものはモチベーションです。生徒が意欲的に、問題に取り組みたい、課題を発見し解決したい、と思わない限りは、どうしても態度が受動的になってしまい、本来のコーチング指導を行うことができません。<br>

モチベーションアップのために行っている工夫は以下の通りです。

  • 褒めること
  • 子どもに限ったことではなく、褒められることとはやはり大きなモチベーションに繋がります。
    ただ褒めるだけではなく、具体的に、テンポよく、生徒の自己肯定感につながるよう褒めるようにしています。

  • サクセスストーリーとホラーストーリーを使い分ける
  • サクセスストーリーとは、生徒に自分がこのまま成功したらどのような姿になっているかを想像し、自分自身に何が必要かを考えてもらうことです。反対にホラーストーリーとは、このまま失敗した場合にどのような姿になっているかを想像してもらい、危機感を持ってもらうことです。
    ホラーストーリーは、時には効果的ですが、多用してしまうと生徒の自信喪失につながってしまいますし、生徒との信頼関係にも関わりますので、多用しないようにしています。

  • スモールステップを使用する
  • スモールステップとは、最初から難易度の高い大きな目標を立てるのではなく、課題を細分化し比較的取り組みやすい難易度の低い課題から挑戦し、成功を重ねていくスタイルの学習法を差します。
    小テストや学習での課題の際にスモールステップにてたくさんの成功体験を重ねることによって、生徒たちは達成感ややりがい、自身を感じられます。また、指導する側としても、問題が細分化されたことでどんなところにつまずいているのかが明確化できるというメリットがあります。

3-2 生徒を把握する

コーチングを行う上で重要なことは、生徒一人ひとりがどのような人間かを把握することです。
以下の3つの基準で生徒の立ち位置を把握することで、指導・アドバイスするべきポイントがはっきりします。また、的確な指導を受けることによって、生徒自身は自らの立ち位置や課題を知り、論理的に解決策を考えます。

  • ポゼッション(知識やスキル)
  • ポゼッションとは、生徒が持っている知識やスキルなどのことを差します。具体的には、得意科目、苦手科目、自己管理能力などの情報です。
    目標到達のため、例えばテストで高得点を取るためには知識が必要水準に達していることが必須となります。したがって、生徒のポゼッションを把握し、ポゼッションが不足している場合には、以下のよう質問を投げかけます。
    ・理想としている状態(例えば、テストで常に高得点が取れる状態)に近づくために、あなたに必要なものは何ですか?
    ・目標(例えば、志望校に合格すること)を達成するためには、どの分野について学ばなければいけませんか?

  • ビヘイビア
  • ビヘイビアとはポゼッションを踏まえた行動の仕方ことです。
    目標を達成するために、どのような勉強方法をしているか、週に何回くらいスクールに来て学習しているか、習慣的に1日何時間くらい勉強しているか、などが具体的なビヘイビアです。
    やらなければならないことがわかっていても、実際にやれないことは多々あるので、以下のような質問で生徒を行動するように導きます。
    ・やろうと思っていてもできていないことはないですか?(学習しなければならないことはわかっているけど、やる気が出ないなど)
    ・目標達成のために、今すぐにできることは何ですか?(簡単にできることから初めて、達成感を感じながら一つひとつステップアップをしていくよう促します)

  • プレゼンス
  • やらなければならないことがわかっていて、そのための行動をしていたとしても、まだうまくいかないことがあります。
    頭では理解できていても心でわかっていない、あるいは理解していることと心で思っていることが対立している状態のことで、「プレゼンス」といいます。
    一般的な言葉に置き換えると、価値観や生徒の性格です。
    プレゼンスが目標達成の妨げになっている場合は、以下のようにコーチングを実施します。
    ・その目標を達成することは、あなたにとってどんな意味がありますか?(サクセスストーリーを自然に描けるように声がけをします)
    ・環境の変化に合わせてあなたがすべきことは何ですか?(そのときどきの状況に合わせて行動するように促します)

以上のように、先生と生徒が互いの状況を把握しながら、やるべきことを論理的に考えることによって、取るべき行動を取り、成績の向上や学習効果の最大化につなげていきます。

3-3 生徒に合わせてやり方を変える

コーチングはあくまで一つのプロセスであり、一つの定まった手法があるわけではありません。
全員に同じやり方で指導するわけではなく、成果が最大限に発揮されるように、生徒一人ひとりに合わせて指導内容を調整します。生徒のモチベーション・学力の高さ、性格、得意・不得意分野などによって接し方を変えることで、適切なコーチングの仕方が異なります。

例えば、学力は高いがモチベーションは低いといった生徒の場合には、学習指導以上に目標の持ち方やビジョンの描き方が重要になります。学力が高いので、短期的には学習で困ることはありませんが、モチベーションが低い状態が続くと、将来学習の難易度が高くなった時につまずいてしまったり、目標が持てないまま希望の進路が定まりにくかったりしてしまいます。

生徒自身の論理的思考力によって、モチベーションが低いことを自ら課題として設定し、取り組むことができれば理想的ですが、当校の先生がヒントを与えたり自問自答を促したりすることで、課題設定をできるようにします。

4、まとめ

kimino☆schoolにて、コーチングを用いてどのように論理的思考力を伸ばしているかについて解説しました。
コーチングは一つのプロセスであり、生徒の性格や状況によって接し方が異なるので、明確なマニュアルや指針があるわけではありませんが、正しくコーチングを用いれば論理的思考力を磨いていくことができます。その結果、主体性や客観的視点についても身に付けていくことができます。

コーチングを行う上で、当校では生徒のモチベーションアップ、生徒の把握、生徒に合わせた指導に注意をしています。
はっきりと固定されたスキルが定まっていないからこそ、論理的思考力の習得・成績の向上といった目標を達成するために、きめ細かな対応を行っています。