因数分解を丁寧に!基礎を徹底的に解説します!
① x²+6x+5 の因数分解をしてみよう。
まずは試しに、x²+6x+5 の因数分解をしてみましょう。
…どうでしょう、できましたか?
おそらく多くの方が、x²+6x+5 = (x+1)(x+5) と解答できたのではないでしょうか。
わからなかった方も心配ありません。これからわかりやすく解説していきます。
では、解答できた方に質問です。どのようにして、その答えにたどりついたのでしょうか。
一般的な方法として、足して6、かけて5となる数の組み合わせを探してくるやり方があります。
けど、どうしてそのやり方で因数分解できるんだろう? そう思ったことはありませんか。
今回は、そんなちょっとした疑問に注目してお話していきたいと思います。
② そもそも「因数分解」ってなんだろう。
例えば問題文で「次の多項式を因数分解しなさい。」と言われたとき、どうすればいいんでしょうか。
因数分解といっても、やり方は一つとは限りません。ただ、すべての因数分解に共通するのは、因数分解によって複雑な式を簡単にできるということです。
次の式をみてください。
(x+1)(x+2)= x²+3x+2
この左辺の式を計算して、右辺の式を求めることを「展開」といいます。
「因数分解」とはこの丁度逆のことをして、数式をもうこれ以上は簡単に(細かく)できない、という形に直してあげることです。
たしかに、(x+1)(x+2)をこれ以上簡単に(細かく)することはできなさそうですよね。
③ x²+6x+5 を因数分解、の前に予想をたててみよう。
では、ここから実際に因数分解をしてみようと思います。でも、その前にひとつだけみなさんで予想をたててみてみてください。
それは例えば、x²+6x+5という式を因数分解したらどんな形の式になるんだろう、という予想です。ここで参考にしてもらいたいのが、②でみたように、x²+3x+2という式は(x+1)(x+2)に因数分解できるということです。
これをもとに、同じようなx²+6x+5という式は(x+a)(x+b)という形に因数分解できると予想してみましょう。
※このa,bには具体的な整数が入ります。
④ 予想をもとに因数分解
今、私たちはx²+6x+5=(x+a)(x+b)という形で因数分解できると予想してみました。ではさらに右辺の式を展開してみましょう。
x²+6x+5=(x+a)(x+b)={(x²+(a+b)x+ab}・・・A
もし本当に予想が正しいのなら、上のような式が成立するはずです。
では、ほんとうにこのようなa,bは存在するのでしょうか?
x²+6x+5={(x²+(a+b)x+ab}
Aの式の一部をとってきました。左辺と右辺を比べてみましょう。よくみると、(a+b)=6、ab=5をみたすようなa,bをみつけることができればよさそうです。
そして、このようなa,bについて、すこし考えてみると、1と5だと気づくことができるでしょう。
最後にa,bに1と5を代入して、たしかにx²+6x+5=(x+1)(x+5)と因数分解することができます。
足して6、かけて5の数の組み合わせを探すのは、このa,bの組み合わせを探すことと同じだったのです。
⑤ 実際に予想してから解いてみよう!
では実際に、次の2つの多項式を因数分解後の式を予想してから解いてみましょう。
1, x²+4x+4
2, x²-16
⑥ 問題の解説
1, x²+4x+4=(x+a)(x+b)と予想してみます。
右辺を展開すると、x²+4x+4={x²+(a+b)x+ab}=(x+a)(x+b)です。式を見比べると、a+b=4、ab=4となるような(a,b)、つまりa=b=2ならばこの式は成り立ちます。
よって、答えはx²+4x+4=(x+2)(x+2)=(x+2)²です。
2, x²-16=(x+a)(x+b)と予想してみます。
右辺を展開すると、x²-16={x²+(a+b)x+ab}=(x+a)(x+b)です。式を見比べると、a+b=0、ab=-16となるような(a,b)、つまりa=4,b=-4ならばこの式は成り立ちます。
よって、答えはx²-16=(x+4)(x-4)です。
因数分解とは、数式をより簡単な式に直してあげることです。
そして、因数分解をするときには、ぜひ予想をたててみてください。そうすることで、自分がどの値をもとめるべきなのかわからなくなったり、何をしているのかわからなくなることが少なくなります。
みなさんが数学をすこしでも簡単に感じてくれれば、うれしい限りです。