勉強法 絶対におさえておきたい助動詞「まし」の用法

絶対におさえておきたい助動詞「まし」の用法

こんにちは。塾講師めるです。
今回は「助動詞「まし」の用法」を説明していきます!

1)助動詞「まし」の活用形と接続は?

まずは,助動詞「まし」の活用形と接続を確認しましょう。
(未然形/連用形/終止形/連体形/已然形/命令形の順になっています)

「まし」:(ませ)/○/まし/まし/ましか/○
      ましか

助動詞「まし」は未然形接続ですから,直前には必ず動詞の未然形があります。
ちなみに「まし」の未然形には「ませ」と「ましか」の二種類がありますが,
時代によって用いられている形が異なるだけで,意味や使い方はまったく同じです。

2)助動詞「まし」の意味は?

助動詞「まし」には全部で三種類の意味があります。

「まし」:反実仮想(もし~としたら,…だろうに)
     ためらいの意志(~しようかしら,~ものだろうか)
     希望(~したら良いのに)

これだけを見ると「よくわからない…」と思う方もいると思いますが,
「まし」が反実仮想の意味で用いられる場合,次のうちのいずれかの形を取ります。

・~ましかば,…まし   ・~せば,…まし
・~ませば,…まし    ・~ば,…まし

これらの形を見つけたら,そこでの「まし」は必ず反実仮想です。
逆に,これらの形で用いられていない場合,「まし」はためらいの意志希望となります。
具体的に例を挙げてみるので,確認していきましょう。

世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし
(もし世の中にまったく桜の花がなかったとしたら,春の(人の)心はのどかだっただろうに)

これに何を書かまし。(これに何を書こうかしら)

見る人もなき山里の桜花 ほかの散りなむ後ぞ咲かまし
(見る人もいない山里の桜の花よ,ほかの桜が散った後に咲いたらいいのに)

一つ目の例では「~せば,…まし」の形が使われているので,この「まし」は反実仮想ですね。
特に「~せば,…まし」「~ば,…まし」は見落としがちなので注意しましょう!

3)まとめ

いかがでしたか?今回のポイントは以下の通りです。

助動詞「まし」:接続 =未然形接続
    
        活用形=(ませ)/○/まし/まし/ましか/○
             ましか

        意味 =反実仮想(もし~としたら,…だろうに)
            ためらいの意志(~しようかしら,~ものだろうか)
            希望(~したら良いのに)

          ※「~ましかば,…まし」「~せば,…まし」
           「~ませば,…まし」 「~ば,…まし」

           → これらがあれば反実仮想,なければためらいの意志希望

助動詞「まし」の用法をわからないままにしてしまうと,
文章に書かれている動作が実際に行われていたかどうかの判別が難しくなります。
話の流れを見失わないためにも,しっかり復習しましょう!