フロイト先生は必ず聞かれる!問題で見る欲求と適応
こんにちは。塾講師めるです。
今回は「欲求と適応」について,実際に問題を解きながら解説します!
「青年期の特徴」と同様,「欲求と適応」についての問題も,
倫理・現代社会の両方の科目でよく出題されるので,しっかり覚えましょう!
1)問題
欲求と適応に関する記述として正しいのはどれか。次の①~④からひとつ選びなさい。
① 欲求が満たされず心の緊張状態が続く状態のことを「葛藤(コンフリクト)」という。
② 欲求が満たされないときに見られる「同一視」や「反動形成」は「防衛機制」の一種である。
③ 精神分析学の祖フロイトは,心の「無意識」の部分には「タナトス」が蓄えられていると考えた。
④ フロイトの弟子ユングは,人間の心を「エス・自我(エゴ)・超自我」の三層構造からとらえた。
制限時間は3分です。それではシンキングタイム,スタート!
2)解答・解説
いかがでしたか?それでは答えを見ていきましょう。
正解は②でした!
では,間違っていた選択肢について簡単に解説していきましょう。
① 欲求が満たされず心の緊張状態が続く状態のことを「葛藤(コンフリクト)」という。
→欲求が満たされず心の緊張が続く状態は「欲求不満(フラストレーション)」と呼ばれます。
この状態が長く続くと,心や身体に不調をきたしてしまいます。
「葛藤(コンフリクト)」とは「心の二つの相反する欲求がぶつかること」を表します。
青年期に葛藤を経験・解決することで,子どもから大人へと人格的に成長していくんですね。
③ 精神分析学の祖フロイトは,心の「無意識」の部分には「死の本能(タナトス)」が蓄えられていると考えた。
→フロイトは,心の「無意識」の部分には「リビドー」が蓄えられていると考えました。
「リビドー」は原始的な性の衝動で,人間の心を操っているとされます。
ちなみに,②で出てきた「防衛機制」もフロイトが精神分析学の中で発見したものです。
「死の本能(タナトス)」とは「破壊や死へと向かう人間の本能的な欲求」のことで,
これもフロイトが発見したものですが,無意識とは別の話です。
④ フロイトの弟子ユングは,人間の心を「エス・自我(エゴ)・超自我」の三層構造からとらえた。
→人間の心を「エス・自我(エゴ)・超自我」の三層構造からとらえたのはフロイトです。
フロイトは,リビドーを蓄える無意識の部分を「エス(イド)」,道徳や良心の部分を「超自我(スーパーエゴ)」,
エスと超自我を調整する部分を「自我(エゴ)」とそれぞれ名付けました。
人間の心は,相反するエス⇔超自我と,その間で両者を調整する自我(エゴ)から成り,
どこか一つでも働きがが強すぎたり弱すぎたりすると,バランスを崩して不調に陥ると考えられました。
フロイトの弟子ユングは,個人の無意識とは別に人類共通の無意識があると考えました。
これは「集合的無意識」と呼ばれるもので,神話や宗教,夢などに現れているとされています。
集合的無意識にはいくつかのタイプがあり,これをユングは「元型」と呼びました。
3)まとめ
いかがでしたか?今回のポイントは以下の通りです。
◎欲求と防衛機制
・欲求不満(フラストレーション):欲求が満たされず心の緊張状態が続くこと
・葛藤(コンフリクト) :二つの相反する欲求がぶつかり合うこと
→欲求不満や葛藤が解消されないと「防衛機制」が働く(例:「同一視」「反動形成」など)
◎フロイトの精神分析学
・「リビドー」:人間の無意識の部分に蓄えられた原始的な性的衝動
→人間の心を操っている
・心の三層構造:「エス(イド)」 =リビドーが蓄えられた無意識
↕ ←「自我(エゴ)」 =エスと超自我の調整
「超自我(スーパーエゴ)」=心の中に形成された道徳や良心
・その他の発見:「防衛機制」
「死の本能(タナトス)」=破壊や死へと向かう人間の本能的な欲求 など
◎ユングの精神分析学
・集合的無意識:個人の無意識とは別に,人類が共通して持つとされる無意識
・元型 :集合的無意識に見られるいくつかのイメージの型(タイプ)
→神話や宗教,夢などに現れているとされる
必ず覚えてほしいのはフロイトの「リビドー」と「心の三層構造」です。
似たような用語が多いですが内容はシンプルなので,確実に答えられるようになりましょう!