センターにも出る!鉛蓄電池の電気分解で電気量から質量の変化を求める問題
ポイント
- 電気量はファラデー定数を使ってe–のモルにする
- 鉛畜電池の正極と負極の式は暗記
- 計算は単位に注目
- 化学反応式の係数はモルの変化量に比例する
問題
鉛蓄電池を用いて硫酸銅(Ⅱ)水溶液を電気分解する装置を考える。
この装置で電気分解を行ったときの鉛畜電池における変化は
Pb + 2H2SO4 + PbO2 → 2PbSO4 + 2H2O
で表される。
この電気分解の装置に流れた電気量が1930Cであるとき、鉛畜電池中の 希硫酸の質量は何g減少するか求めよ。
ただし、H = 1.0 O = 16 S = 32 ファラデー定数 : 9.65 × 104 [C/mol] とする。
考え方
- まずこの問題は、情報が電気量しかないので電気量を使うために、e–が出てくる鉛畜電池の負極と正極の式に分解してみる。
- 正極:PbO2 + 4H+ +2e– + SO42- → PbSO4 + 2H2O
- 負極:Pb + SO42- → PbSO4 + 2e– となる。(これはすぐに作れるように!)
- 次にファラデー定数の単位を見てみると、[C/mol]より、ここから与えられた電気量を使ってモルを出すには、電気量[C] ÷ ファラデー定数[C/mol] でいけると確信する。
- よって、モル数は だとわかる。(ここではまだ計算しない!)
- このmol数は何のモル数かというと、2e–のモル数。
- ここで、どんな問題だったか立ち返ってみよう。今回は、希硫酸の質量の減少を知りたい問題だ。つまりこの反応によって増減するもので希硫酸に関係のあるものだけを考えれば良い。
- 今回、PbO2 や Pb や PbSO4は希硫酸には全く関係ない。関係あるのは、H2SO4 と H2O である(希硫酸とは希薄な硫酸水溶液のことだから)。
- 化学反応式の係数は変化したモルに比例するので、正極からは、2e–に対して2倍のH+(4H+だから)が減少し、1倍のH2O(2H2Oだから)が増加される。
- 負極からは、2e–に対して1倍のSO42-が減少する。
- つまり、2H+ + SO42- → H2SO4なので、2e–に対して1倍のH2SO4が減少し、1倍のH2Oが増加される。
- あとはそれぞれモルをグラムに変えて計算すれば良いので、H2SO4:1×2+32+16×4=98 H2O:18 を考慮すると
- となる。できた!!!
ちなみに計算を最後にやったことで、いっきに簡単な計算になりました。複雑な分数は最後の最後で計算するようにしましょう。