青年期とはどのような時期なのか?
青年期とは?
青年期とは、ざっくり言ってしまえば皆さんの年頃のことです。
皆さんがそうであるように、青年期にある人は、肉体的にも心理的にも、子どもから大人へと大きく成長するただ中にあります。
つまり、子どもから大人になる過渡期が、青年期なのです。
過渡期としての青年期
青年期には過渡期であるがゆえの特徴があります。
大人になり切っていない青年期の人は、大人が負うべき義務や責任を先延ばしされている状態にあります。
この点を捉えたアメリカの発達心理学者エリクソンは、青年期を大人になるためのモラトリアム(猶予期間)と考えました。
しかし同時に、青年期は大人にも子どもにも属さない、大変不安定な時期でもあります。
青年期の人はしばしば、ある時には大人っぽく振舞い、別の時には子どもっぽく振舞うといった、不安定な言動を見せます。
この点に注目したドイツの心理学者レヴィンは、青年期を大人でも子どもでもないマージナルマン(境界人)の時期であるとしました。
青年期の身体的・心理的変化
青年期には身体的に大きな変化が訪れます。
体が性的に成熟するのです。
これを第二次性徴と言います。
青年期には心理面でも大きな変化を見せます。
それは自我の目覚めです。
自我とはなんでしょう? 一言で言えば、それは自分自身への意識です。
自我が目覚めることによって、青年期の人は親から自立し、自分で判断し行動しようとするようになるのです。
青年期にある皆さんは、親や先生に反発したり、未成年には禁止されているお酒やたばこに興味を持ったりするといった経験があると思います。
既存の権力関係や価値観に異議を唱えたり、疑いを持ったりするようになるのは、皆さんが青年期を迎え、自我に目覚めたからです。
青年期に訪れる自我の目覚めを、フランスの思想家ルソーは、著書『エミール』の中で「第二の誕生」と表現しました。
第二の誕生によって、人は自分という存在を強く自覚するようになり、悩み多き心の動揺の時期、つまり青年期を迎えるのです。
青年期とアイデンティティ
上で出てきたエリクソンは、青年期で最も重要な課題はアイデンティティ(自我同一性、自己同一性)の確立である、と指摘しました。
アイデンティティとはなんでしょう? 一言で言えば、それは自分らしさのことです。
自分らしく生きるには、「自分とはこういう人間だ」ということを、自我に言い聞かせるとともに、社会に認めてもらわなければなりません。
自我と社会とのはざまで、青年期の人たちはいろいろと思い悩むのですが、それが許されるのは、青年期がモラトリアムでマージナルだからです。
アイデンティティに思い悩むことができるのは、ある意味、青年期の「特権」なのです。
青年期は、大人になるためにアイデンティティを確立する時期です。
アイデンティティを確立することで、人は青年期を終えて大人になるのです。
青年期から成人期へ
青年期にある人は、劣等感、孤独感、不安感やさまざまな悩みを抱えます。
それらを経験し、アイデンティティを確立していくなかで、青年期の人たちは人間性を育み、成人期へと移行していくのです。
というわけで青年期の皆さん。
何も恥ずかしいことはありません。
大いに悩んでください(笑)