冷戦で起きたマーシャル・プランとは?経済政策|政治経済勉強法
背景:欧州の経済力低下とイギリスの凋落
第二次世界大戦は、戦場となった欧州に大きな負担を強いるものでした。単に戦場になって被害を受けたのみならず、軍事のために巨大な支出を強いられたのでした。結果として、大国であったイギリスもフランスも、戦後には経済力はかなり減退していたのでした。
また、イギリスの影響力低下も明らかでした。欧州内ではイギリスが経済的優位を生かして他国に経済援助をしていたのですが、その余力も既になくなってしまいました。このためにトルーマン・ドクトリンが発表されることにもなったのですが、イギリスの経済力の低下はさらに深刻で、自国の経済の維持ですら大変でした。
このような危機的状況から、アメリカのさらなる欧州への介入が求められました。そこで、マーシャル国務長官は1948年にハーヴァード大学での講演で、ヨーロッパの復興のための経済援助を実施することを宣言しました。これが、マーシャル・プランです。
意義1:共産主義の浸透防止
マーシャル・プランの意義は、大きく2つです。1つは、共産主義勢力の浸透防止でした。西ヨーロッパ諸国をアメリカの力で復興することで、西側の勢力圏にこれらの国々を組み込もうとしたのでした。逆に言えば、これを実施しないとソビエト連邦が援助を実施して、東側陣営に取り込まれてしむかも知れなかったのですね。
意義2:アメリカの経済的利益
意義の2つ目は、アメリカ自身の経済的利益です。アメリカは工業輸出国として栄えていましたが、その買い手はヨーロッパでした。しかし、ヨーロッパが経済的に立ちゆかなくなってしまえば、アメリカ製品を輸入する余力がなくなってしまいます。そうすると、輸出が減少して困るのはアメリカです。ですから、ヨーロッパを系座的に援助して復興させることが、アメリカからの輸出の維持・拡大のためにもなる、つまり、アメリカ自身のためでもあったのですね。
例題
マーシャル・プランの発表者の役職は?
1.国務長官
2.国防長官
3.商務長官
4.財務長官
解答解説
正解は、国務長官です。国防長官は軍事、商務長官は貿易、財務長官は財政を担当していました。なお紛らわしいですが、モーゲンソー財務長官は、敗戦後のドイツの工業力を破壊して農業国として復興させようとし、これをモーゲンソー・プランといいます。
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