ルネサンス人の人文主義とは?ルネサンスを深く|世界史勉強法
ここでは、ルネサンスの具体的な内容を分かりやすく説明していきます。
■人文主義(ヒューマニズム)について
人文主義(ヒューマニズム)は、中世キリスト教の禁欲的な考え方ではなく、人間本来の姿を表現しようというルネサンスの中心となった思想になります。
この思想の分かりやすい例として、ローマ時代の彫刻が挙げられます。
裸像の彫刻は、中世キリスト文化では『ふしだらなもの』と考えられていましたが
ルネサンスでは『美しいもの』として捉えられていくのです。
これは、カトリックの考え方を真っ向から否定したという訳ではありませんが
人間の持つ美や欲望を認めようということが芸術に大きく影響したため
ルネサンス期の作品には、裸の人間がモチーフになったものがたくさんあります。
■ルネサンス人たち
ルネサンス期に活躍した人物を紹介していきます。
≪ダンテ≫
叙事詩『新生』や『神曲』を著した、ルネサンスの先駆者です。
特に、トスカナ語で書かれた『神曲』は、ダンテが古代ローマ人の詩人であるヴェルギリウスに案内されて
地獄や煉獄、天上界を旅していくというものなのですが、これにキリスト教世界観とダンテが持つ価値観の両方が織り込まれていて
中世カトリック文化とルネサンス文化の懸け橋と考えられているため、非常に重要な作品となっています。
≪ペトラルカ≫
古代ローマを称賛する人文主義者の詩人になります。
アヴィニョンの教皇庁に勤めていたこともあり、カトリック的価値観からあまり重要視されていなかった
ローマ時代の古典の収集・復活に働き掛けました。
『叙情詩集』や『アフリカ』などが代表作になります。
≪ボッカチオ≫
初めてホメロスの著作をラテン語に翻訳したギリシア古典の研究者で、同時代のベトラルカとも言われています。
代表作である『デカメロン』は、当時大流行していたペストから身を守るために邸宅に引きこもった
男3人と女7人の計10人が退屈をしのぐために、一人ずつユーモアと笑顔溢れる恋愛話や失敗談などを語り合うという大作になります。
『千一夜物語』や『七賢者の書』に影響され、ダンテの『神曲』に対し『人曲』と呼ばれるなど近代小説のはしりとなっていました。
≪ジョット≫
『聖フランチェスコの生涯』という作品を造り上げたルネサンス初期の画家で、イタリア絵画の祖とも言われています。
また、建築の設計も行っており、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の隣にある
ジェット鐘楼を設計したことで有名となった人物になります。
※フィレンツェのシンボル的存在のサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の建築家は、ブルネレスキです。
サンピエトロ大聖堂の設計者であるブラマンテと間違えやすいので、気を付けましょう!
≪ボッティチェリ≫
ジェットの系統に属するルネサンス中期の画家です。
誰もが知っている『ヴィーナスの誕生』や『春』などといった有名な絵画を描いた人物になります。