大統領制と議院内閣制、どう違うの?ーーポイントは、「誰が選ぶのか」
今回は大統領制と議院内閣制の違いを押さえましょう。違いの根本は、統治者の選ばれ方です。そしてこれに伴って、三権の関係が違ってきます。
統治者の選ばれ方
要するに、「政治の最高責任者を誰が決めるのか?」ということです。大統領制はシンプルで、大統領は国民の選挙によって選ばれますから、国民が決めるということですね。
一方議院内閣制は、総理大臣は議会での選挙で選ばれますから、国会議員が決めるということです。
選出基盤が、それぞれ国民と国会議員と、違っているわけですね。
三権の関係
選出基盤が違うことから、立法・行政・司法の三権の関係も変わってきます。大統領制では、三権がバラバラに、独立しています。大統領の所属政党と議会の多数派が異なっている、ということはよくあることですし、それだけではあまり話題にはなりません。
議院内閣制では、立法府と行政府がほぼ一体化し、司法がこれとは別に存在しています。というのも、行政府のトップである総理大臣が議会によって選ばれるからですね。ということで、議院内閣制では、立法府の多数派と行政府のトップの所属勢力が基本的に一致します。逆にいえば、議院内閣制においては、立法府の多数派と行政府が違う政治勢力である、いわゆるねじれの状態は異常事態であるといえます。
具体例
では、実際にどの国がこれらの形式を取っているのでしょうか?大統領制は、典型的な例はアメリカですね。他には中南米に多いです。議院内閣制は、イギリスが典型的な例で、そのほかのカナダやニュージーランドなどの英連邦諸国もこれに含まれます。日本も、議院内閣制です。
とはいえ各国で実際のあり方は少しずつ異なっていて、必ずしも典型的な説明の通りとは限らないので、ご注意を(とはいえそれは大学受験には要求されない知識ですが)。
例外
民主主義国がすべてこのどちらかである、というわけではありません。例えばフランスは、半大統領制という形態で、大統領と総理大臣が両方います。韓国もそうですね。
例題
次の国のうち、議院内閣制の国をすべて挙げなさい。
アメリカ、イギリス、カナダ、大日本帝国、ロシア
解答解説
正解は、イギリスとカナダですね。これは上で解説した通りです。難しかったのは大日本帝国。大日本帝国での総理大臣は、議会ではなくて天皇(およびこれを補佐する重臣)から指名されていました。1925年から1932年の一時期だけ、議会の多数派を総理大臣にしていましたがこれはあくまで慣行で、制度ではありませんでした。