『玉の緒よ絶えねば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする』の現代語訳と解説。
これは新古今和歌集で詠まれている「玉の緒よ絶えねば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする」という歌です。
【原文】
玉の緒よ絶えねば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする
【現代語訳】
私の命よ、絶えるなら絶えてしまってくれ。このまま長く生きていれば、心に秘めた恋がばれてしまいそうだから。
【解説】
この句は、「忍ぶる恋」というテーマで詠まれたものです。今で言うと「人には知られていない秘密の恋」といったところ。
「玉の緒」とは、魂と体とをつなぐヒモのことを表し、つまり「死んでしまってもいい」となかなか強烈な句で始まっています。
「ながらう」とは「長く生きる」と訳しています。「忍ぶ」には「気づかれないようにする」と「我慢する」という意味があります。
この歌が恋の歌ということを考えると、気づかれないようにしていた恋と、その恋心を人に伝えるのを我慢しなければならないという気持ちがこめられた言葉でしょう。
(というのも、式子内親王は生涯独身でいなければならない身分だったために、恋をかなえることはおろか、人に伝えることができなかったのです。)
そして恋心を抑えなければならないのですが、長く生きれば生きるほど、その意志が弱ってしまいそう・・・だから命が絶えてしまってもかまわないと歌っているわけです。