歴史の「教科書」ちゃんと使っていますか?
教科書はとても重要
大学受験はそもそも、検定教科書をマスターすれば解けるように問題が作られるのが基本ルールです。とくに発想力が問われる数学などとは違い、歴史の場合、重要語句や歴史解釈は検定によって限定されます。東大の論述でさえ、山川の教科書に書かれている以上の独自の歴史解釈は要求されません。したがって、受験科目としての歴史において、教科書のマスターが第一の目標となるわけです。以下では、読みにくい教科書を読みこなすための方法を紹介します。
① パラパラめくってみる
まずは軽い気持ちでパラパラと流し読みして、どこにどんなことが書かれているか、〜時代はどの辺りに書かれているか、といった大雑把な感覚をつかみましょう。字を追いかける必要はなく、太字や図表が目に入ればよいです。この作業は気分転換ぐらいに思って、気楽にやって結構です。まずは歴史を大づかみに捉えることが大事です。目次を読むことも大切。
② 気になったところを読む
パラパラめくっていて気になるところがあると思います。たとえばきれいな写真がのっていた、面白い顔のおじさんがいた、といったことです。その気になったものが何なのか、時代はいつなのか、に注意して見開きページ程度の分量を読みましょう。なるべく様々な時代をかじっておくことが大事です。興味のある時代があれば、そこだけ読むのも効果的です。
③ 各章を読み進める
学校や予備校の授業と並行した部分を読み進めます。この時、教科書は授業の予習として読むことをおすすめします。なぜなら、授業で「この内容、教科書で読んだ!」という経験は知識の定着に役立ちますし、あらかじめ授業の概要を知っていると授業内容が飲み込みやすいからです。教科書を読み進めるときには、1)重要単語 2)歴史解釈 の二点に気をつけます。2)歴史解釈というのは、太字になっていないような、ある出来事の影響、意義を記述した部分のことです。論述が課される大学を志望する受験生は、ぜひ2)のタイプの文章にであったらマーキングしておくことをおすすめします。
④ 知識の確認
一章、あるいは一節でも読み終わったら、ぜひ1)重要単語の復習をすぐにしましょう。筆者のおすすめは一問一答です。もちろん教科書を読んだ直後なので、はじめはほとんど解けません。しかし、答えを見て、「あ〜、そういえばこんなことが書いてあったな」と思い出し、教科書を再確認することが記憶定着の上で大事なことです。余裕があれば、オリジナルの図を描いてまとめノートを作るのも知識整理に効果的です。
⑤ 因果関係に着目しながら再読
③→④を教科書全体で一通り終えたら、因果関係、時間の流れに気をつけて再読します。ある程度、固有名詞が頭に入ったところで、それらの固有名詞を関連付けるのが、再読する上でのねらいです。したがって、2)の記述に注目することになるのですが、2)のタイプは概して重要性が捉えにくく、覚えにくいです。そこで、対応する時代の論述問題を用意し、その論述問題を教科書の記述のみを使って解くことをおすすめします。この方法は教科書を読む上で、問題を解く、という目的意識を持つことにつながり、飽きずに読むことができると思います。
⑥ 教科書を武器に問題を解く
⑤までできたらあとは、ひたすら問題(センター試験、論述問題など)を解きます。注意することは、はじめの段階では、解けなくても落ち込まず教科書を積極的にカンニングしながら解くことです。筆者の場合、センター試験の過去問を教科書を見ながら解く作業が、曖昧な理解を確実な理解にステップアップする上で、非常に有用でした。またセンター試験は間違い探しゲームのようで楽しかったです。
ぼろぼろになるまで
教科書は一度にたくさん読もうとするとどうしても飽きてしまいます。本稿で紹介したように、いくつかのステップを用意し、目的意識を持って取り組むことが、教科書を読みやすくするコツです。ぜひ、書き込みやマークでいっぱいの教科書を持って試験に臨んでください。