定期テストと模試,どちらを優先すべき?
テストの目的と種類
大きく分けて,テストには2つの分類があります。一つ目は,ある内容に関する受験者の到達度を調べるもの,二つ目は,テスト受験者全体の中でどの程度のレベルかを調べる,というものです。テスト研究の中で使用されている専門的な言葉を用いると,一つ目は到達目標に焦点を当てた目標規準準拠テスト(Criterion-referenced tests: CRT),二つ目は一般的なレベルに焦点を当てた集団基準準拠テスト(Norm-referenced tests: NRT)と言われます。では,定期テストと校外模試では,それぞれどちらのテストに分類されるでしょうか?
定期テストは出題内容も限られていますので,ある内容に関してどの程度理解できているかを調べるCRTの方に分類されます。到達度を重視した方ですね。
一方で校外模試は,高校在学中の受験生だけでなく浪人生なども含めてのテストですので,受験者全体の中での相対的な学力を測定するためのNRTに分類されます。英語試験を例に挙げると,TOEICやTOEFLなどは,このNRTに分類することができます。
少し難しい話が続きましたが簡単にまとめると,定期テストと校外模試は全く別の目的で作成された,違う種類のテストであると分かります。
限られた時間の中でどういう点を押さえて勉強するかは非常に重要な問題ですので,以下に,定期テストと校外模試それぞれのテスト対策をするメリットを説明していきます。
①定期テストの対策におけるメリット
到達度を調べる定期テストでは,事前に試験範囲が知らされており,各教科で重点的に出題される単元が予め分かっていることになります。つまり,定期テストの対策をすることで各単元の理解を深めることができるわけです。採点結果を見れば,自分が苦手とする単元や理解ができていなかった単元が明らかになるので,受験対策として強化すべき自分の弱点に気づくことができます。
さらに,定期テストの内容のうち,深い考察が求められるような記述問題は,二次試験対策に繋がると考えて良いでしょう。二次試験では大学それぞれの傾向はありますが,かなり細かいところが出題される場合があります。志望校の過去問などをよく調べておくと良いでしょう。
②校外模試の対策におけるメリット
高校在学中には様々な校外模試を受験することでしょう。これらの模試は浪人生なども多く受験するため,判定結果があまり良くないこともあるかもしれません。しかし,判定結果だけで一喜一憂しては時間がもったいないです。
校外模試の結果というのは,あくまで,実際の受験を想定した場合に,現役生と浪人生をあわせた受験者全体の中における自分のランクを知るための目安にすぎません。
出題内容は明かされていないわけですから,どの単元を出されても問題のない状態に自分の理解度を上げておけば,それほど怖い試験ではありません。何度も校外模試を受験していると,毎回同じような問題,または出題形式でつまずいていることに気づきます。模試の結果が返却されたら,判定結果よりもむしろ不正解だった問題の解説をよく読んで,次に同じ間違いを繰り返さないように対策することが重要です。
試験に慣れるという意味でも校外模試は非常に重要ですので,時間配分などの対策を練ることで,万全の状態で受験当日に挑む予行演習となります。
まずは定期テスト対策から
定期テスト,校外模試,それぞれのメリットを紹介してきました。しかし,どちらを重視するか?という質問に答えるならば,それは「定期テスト」です。定期テストで扱われる各単元(試験範囲)を十分理解できていれば,どのような問題を出題されても確実に正しく解答できるはずです。
定期テストで上位にくる生徒は,校外模試でも上位にくる傾向があります。その逆はほとんど見られません。つまり,学校で行われる定期テストの内容をしっかり自分のものにすることが,後々のセンター試験,二次試験につながっていくことになるのです。
定期テストのために,きちんと勉強するのはもちろんのこと,テスト返却後にきちんと答え合わせをして,間違えた箇所を完璧に理解しておくことが非常に大切です。そうやってひとつひとつの理解を深めていくことが,結果的に模試の成績の向上へとつながります。
テストを活用する
毎回の定期テストに真剣に取り組むことで,自分の弱点を知ることができます。そうして明らかになった弱点を丁寧に克服していくことで,受験に向けた準備を整えることができます。
準備が整ってはじめて,校外模試を受験に向けての力試しとして考えることができるのです。
テストを活用するという新たな視点を持って,定期テストや校外模試を受験してみてください。
思うような結果が出なかったときも,必要以上に落ち込むことはありません。むしろ,自分の弱点が明らかになったことを有難く感じられるはずです。
まずは定期テスト対策から,しっかり準備していきましょう。
そして,校外模試は受験本番に向けての練習だと思って,取り組んでみましょう。
そして最後に…
定期テストであっても,校外模試であっても,見直しは忘れずに!