子どものやる気が出なくて困っているならコーチングという手法がオススメ!

kimino☆schoolでの指導方法の大きな特徴は、コーチングの手法を取り入れていることです。

今回の記事で、コーチングとはどのようなものかを簡単にお伝えしたうえで、コーチングをうまく実践するためにはどのようなスキルがあるか、当校でコーチング手法を用いてどのように授業を行っているか、という点についてわかりやすくお伝えしたいと思います。

コーチングによって、従来の授業方法で成績が伸びにくかった生徒が成績向上のきっかけをつかんだり、目標を持ちにくかった生徒が目標を明確にしたりできるようになることを目指しています。そして、思考力というスキルを習得できることを目標としています。

 

1、コーチングってなに?

「コーチング」は、ビジネスの場面などでよく利用されますが、一般の方々にはなじみの少ない言葉だと思います。 コーチングがどのようなものかについて、解説します。

 

1-1 コーチングってどんなもの?

コーチングとは、「対話を重ねることを通して、生徒が目標達成に必要なスキル、知識、考え方を備え、行動することを支援するプロセス」です。

コーチングの一番の特徴は、授業や学習の際に、先生が生徒に対して基本的に「教える」ことはしない、ということです。イメージとしては、「教える」ではなく「育む」がコーチングのスタンスに最も近いといえます。答えのない問いに対して、先生が答えを示すのではなく、生徒本人が納得できる答えにたどり着くよう導くために、質問を繰り返して行動や選択肢を引き出します。

 

1-2 ティーチングは?

コーチングとよく対比される学習指導方法は、「ティーチング」といわれる手法です。
ティーチングは、「知っている人が知らない人に教える」ことで、学校や学習塾でこれまで行われてきた授業の多くがティーチングによるものです。

これまでの日本では、「知識を教える」ということが重視されてきましたので、保護者の方々にとってもとてもなじみ深いのではないでしょうか。

 

1-3 コーチングとティーチングを比べると・・・

教育現場でのコーチングとティーチングを対比すると、コーチングがどのようなものかわかりやすいと思います。
両者を比べた場合のそれぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。

ティーチング コーチング
知識を教える 一緒にやれることを考える
関係は上下 関係は横並び
知識・結論重視 知恵・過程重視
答えがある 答えがないこともある
ないものを与える 生徒の中にあるものを引き出す

この対比によって当校はティーチングを否定しているわけではありません。むしろ、コーチング同様、ティーチングも重要で、ティーチングとコーチングを必要に応じて使い分けていくことが生徒の学力を向上させるうえでは効果的です。

典型的なケースとしては、初めて学習することはティーチングの手法で指導をするのが効果的・効率的です。
コーチングによって自主的・能動的に生徒自身の中から答えを出すといっても、最低限の知識がなければ絞り出しようもありませんし、間違った知識を身に付けてしまう危険性も生じます。

コーチングは生徒の内面から自発的なモチベーションを引き出すことに長けている手法ですので、これまでの学習方法で成果が上がりにくかった生徒や目標を見出しにくかった生徒の大きな助けになるのではないかと、私たちは期待しています。

また、社会全体としてもこれからの時代には与えられた課題をこなす人よりも、自ら課題を発見して取り組むことのできる人が重宝されるといわれています。コーチングによって課題発見や能動的に思考することを習慣化することによって、こういった力を養っていくことにもつながります。

こうして、コーチングとティーチングの長所をミックスさせながら学習を進めていくことが理想的だと考えられます。

 

2、コーチングの3大スキルとは?

学習塾で先生と生徒が横並びの位置関係になって学習を進める、ということについてあまりピンとこない方も多いことでしょう。
当然のことですが、先生と生徒がただ仲の良い友達のような関係になるという意味ではありません。
ただ、対等に近い関係を築くことはコーチングにおいてはとても重要なことなのですが、単に「仲が良い」だけでは効果的なコーチング指導が行えない、ということです。先生と生徒は、目的を一緒に見つけ、そこまでの道のりを共に歩むパートナーであることが理想的です。

コーチングはプロセスであり、手段なので、これという決まった形があるわけではなく、むしろ生徒の性格や課題に応じて少しずつやり方を変えます。したがって、コーチングとして、決まった形があるわけではありません。しかしながら、全てのコーチングに共通する3大スキルを確認することで、コーチングが具体的にどのようなものなのかがイメージしやすくなると思います。

 

2-1 コーチングスキルその1~傾聴~

傾聴とは、相手の話や態度に目と耳、心を傾け、聴く姿勢を取ることです。
傾聴の態度を取ることで、生徒との間に信頼関係が芽生え、生徒は自身の内面を話せるようになります。

傾聴を行うためには、行動レベルで様々な手法があります。例えば、次のようなものです。

  • 先生が生徒と対面して座ると生徒が委縮してしまうので、それを避けるために生徒の横に並んで座ります。
  • 生徒の発言に対して、生徒の発言のペースやしぐさにあわせて適切なタイミングであいづちやうなずきをします。

 

2-2 コーチングスキルその2~質問~

コーチングの「質問」とは、質問者(先生)が手に入れたい情報を引き出すのではなく、生徒自身に自問自答を促すために用います。質問によって、生徒が自分の考えを整理して、具体化したり新たな視点を持てたりするようにすることが目的です。

具体的には、適切な質問とは次のようなものです。

  • 理想の状態を100点だとしたら、今のあなたは何点ですか?
  • →理想と自身の現在位置を知り、何がどのくらい足りていないのかを改めて考えるきっかけになります。また、そのマイナスを埋めるためにどのような行動が必要かということについても考えるきっかけになります。

  • 100点の状態に持っていくために、まずするべきことは何だと思いますか?
  • →いくつか課題があることが分かったところで、どのような手順で物事を進めていくかを冷静に考えるのは簡単なことではありません。質問によって、客観的に現在位置を把握し、優先順位をつけられるように促します。

 

2-3 コーチングスキルその3~承認~

承認というのは、相手の存在を認めることです。褒めることに似ていますが、むやみに褒めればよいというものではありません。結果ではなく、その過程に対しても、心から自分の言葉で褒めたり認めたりすることによって、効果が得られます。「傾聴」も相手の存在を認めるという点では、承認の一種といえる場合があります。承認はメッセージによって伝えます。

    • YOUメッセージ
    • 「あなたは〇〇だ」という評価です。ただし、お世辞と受け取られてしまったり素直にメッセージを受け取ってもらえなかったりするときには高い効果はありません。

 

    • Iメッセージ
    • 「私は〇〇だと感じている」という評価を与えることです。Iメッセージは、受け取った人が否定することができず、達成感を得やすいメッセージとなります。

 

    • Weメッセージ
    • Iメッセージ以上に、受け手が達成感を得やすいのがWeメッセージです。「私たちは、〇〇と感じている」というメッセージを発することで、受け手は組織に認められた、貢献できた、という意識を持つことができます。

 

2-4 コーチングスキルまとめ

3大スキルの傾聴、質問、承認はそれぞれ独立したものではありません。3つを互いにリンクさせることで、さらなる相乗効果を得ることができます。例えば、質問をする際にも承認をする際にも傾聴の姿勢は必須ですし、質問の結果起こした行動によって良い結果が得られ、新たな承認につなげられるケースなどがあります。

また、これらのスキルを行う上で欠かせないのが、常に相手がどのような生徒であるかを把握することです。現在身に付けているスキルや知識だけではなく、行動の原点や基準となっているものの考え方、価値観や性格など、相手を分析したうえでスキルを使用していくことが重要です。

言い換えれば、コーチングとはプロセスであり、一つの定まったスキルというわけではありません。状況や相手によって少しずつやり方を調整していかなければならないので、個別にきめ細やかな対応が求められます。

 

3、まとめ

Kimino☆schoolの指導方針である「コーチング」について解説しました。

コーチングは、ビジネス研修などでよく用いられている考え方ですが教育の現場で登場したのは最近のことです。コーチングを理解するためには、従来の「ティーチング」と比較するとなんとなく、コーチングがどのような指導方法なのかが見えてくるのではないかと思います。

コーチングを適切に用いると、生徒が自ら学ぶモチベーションを育んだり、自ら課題を発見し解決のために取り組む姿勢が養われたりするといったメリットが期待できます。

コーチングを実践するためには3大スキルをベースに生徒個々の性格や適性に応じて、やり方を調整していきます。そのために重要なポイントとなるのは、生徒一人ひとりとじっくり向き合って観察し、互いに信頼関係を得ることだと考えています。