日本初の労働者保護法が工場法って知ってた?工場法のポイントまとめました!
ブラック企業。
高校生の皆さんも一度は耳にしたことありますよね?
長時間労働にパワハラ・・・。労働者の権利をどう保護をしていくか。
日本で初めて定められた労働者保護の法律。
それが工場法です!そこで、今回は工場法についてまとめていきます!
■工場法で覚えるべきポイントは3つ。
①成立年・・・明治44(1911)年制定(第二次桂内閣)→大正5(1916)年施行(第二次大隈内閣)→大正12(1923)年改正
※1947年工場法は、労働基準法の施行とともに廃止
②目的・・・劣悪な労働環境や女工の多くが10代の女子であることが社会問題に
Cf.農商務省『職工事情』(明治35年)、細井和喜蔵.『女工哀史』(大正14年)
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産業の発展( 企業勃興:1880年代後半と~90年代後半)による労働者争奪戦の激化
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労働者保護の観点から年少者の就業制限、労働時間制限が設けられる
③内容・・・
1911年~ | 1923年~ | |
適用範囲 | 15名以上の工場 | 10名上の工場 |
就業最低年齢 | 14歳 | 12歳 |
就業時間(保護職工) | 1日12時間を超える就業、午後10時から4時までの深夜業及び危険・有害な業務への就業禁止 | 12時間から11時間に |
留意点 | 深夜業の禁止は15年間の猶予期間 | |
保護職工の規定 | 15歳未満の者と女子 | 15歳未満から16歳未満に |
この3つのポイントは工場法の基本なのでしっかり覚えましょう!!!
皆さん、工場法は、制定から施行までどうして5年もかかってるんだろうと思いませんでしたか?
思いましたよね!
ということで・・・工場法についてもう少し・・・
■ここからはこれらのポイントに加えてプラスアルファで知っておいてほしいこと3つ!
①「労働力の保護」という観点
アルバイトをしている人はもしかしたらよく分かるかもしれませんが、
長時間、単調な仕事をしていると疲れてきますし飽き飽きしてしまいますよね。
当時の職工も同じです!
そこで企業の利益のため、産業発展のため、更に国益のため!
良質な労働力の確保という視点から工場法は制定されたとも言えます。
②欧米から学べ!
産業革命はどこから始まりましたか?
そうですね。イギリスからですね。
イギリスでは、1833年に工場法が制定されています。
また、明治政府は欧米諸国の経験からこのまま労働環境を放置すればどうなるか・・・
「社会上の擾乱紛争」を招くに違いない!と考えました。
実際、1897年には高野房太郎、片山潜らによる労働組合期成会が結成され、労働組合の結成が相次ぎ、ストライキも増加します。
こうした社会不安の予防や対応という面も工場法の制定にはありました。
③飴と鞭…。工場法は飴?
・・・治安維持法など大逆事件に対する弾圧が鞭であるならば、工場法は飴であったといえます!
工場法の制定や施行に時間がかかったのは、企業の大反対にあったからです。
しかし、ストライキの増加による労働環境の社会問題化や労働力の確保が必要とされる中で、どうにかこうにか明治44年、工場法は制定されたのです。
しかし、その工場法の内容は上の表からもわかるように「骨抜き」でした・・・。
■まとめ
現代の問題にもつながる工場法!
工場法は日本史ABともに出題される可能性大です!
今回挙げた工場法のポイントは、必ず覚えてくださいね。
また、労働運動史や治安維持法など社会的背景と合わせて覚えるようにしましょう。
■最後に、工場法に関する早稲田大学社会科学部の過去問(2014年)を!
問.工場労働者保護のために制定された工場法についての記述として不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 工場法の制定の翌年警視庁に特高が設置された。
ロ 工場法は、12歳未満の者の就業を禁止した。
ハ 工場法は、女性・少年の深夜業を禁止した。
ニ 工場法は、資本家らの反対が強く、施行が延期された。
ホ 『女工哀史』に描かれた過酷な労働条件が、工場法制定の契機となった。
■答え
イとホ