摂関政治時代の藤原氏の他氏排斥事件分かりやすくまとめて!
1、他氏排斥事件
藤原氏による他氏排斥事件では、①藤原氏の誰が、②他氏の誰を、③どのようなきっかけで排斥が行われたか、の3点を頭に入れる必要があります。簡単に言ってしまえば、藤原〇〇が△△(他氏)を××という理由で失脚させたという形です。それぞれの事件を見ていきましょう。
2、承和の変
①藤原良房
②伴健岑・橘逸勢
③皇太子恒貞親王派の伴健岑・橘逸勢らが謀反を企てているとの密告があり、二人は処罰され、恒貞親王は皇太子を廃されました。
藤原良房が伴健岑・橘逸勢らを排除するとともに、恒貞親王を排し、自身の妹の子である道康親王(後の文徳天皇)を皇太子にしました。この事件により、藤原良房は他氏排斥を行いながら、天皇の外戚の地位を確保しました。
3、応天門の変
①藤原良房
②伴善男
③大納言伴善男が左大臣源信の失脚を狙って応天門に放火しました。当初は伴善男の思惑通り源信が犯人とされましたが、後に伴善男が真犯人であることが発覚した事件です。
真相は不明ですが、事件の処理にあたった藤原良房は他氏の排斥に成功しています。
4、阿衡の紛議
①藤原基経
②橘広相
③藤原基経と宇多天皇との争いです。関白の詔が出された後、橘広相が起草した勅書の中の「阿衡」という職名に藤原基経が反発したことで起きた事件です。結局、宇多天皇が折れ、橘広相が処罰されました。
藤原基経はこの事件で関白の職を確かなものとする一方、橘氏の排斥にも成功しました。
5、昌泰の変
①藤原時平
②菅原道真
③菅原道真が自分の娘を宇多天皇の皇子に嫁がせたことが原因で、藤原時平の陰謀により、道真が大宰府に左遷させられた事件です。
「昌泰の変」という事件名は覚えなくて結構ですが、藤原時平が菅原道真を左遷させたということは覚えておきましょう。
6、安和の変
①藤原実頼
②源高明
③源高明が自身の娘婿である為平親王を擁立して謀反を企てていると源満仲が密告したことで起きた事件です。
藤原実頼に関しては、最難関私大を受験しない限り覚えなくても大丈夫ですが、源高明、源満仲の名前と関係性についてはしっかりと頭に入れておきましょう。
以上、藤原氏の他氏排斥事件となりますが、排斥した人物(藤原氏)と排斥された人物(他氏)の関係は勿論のこと、各事件の並べ替え問題(承和の変→応天門の変→阿衡の紛議→昌泰の変→安和の変)が非常に良く出題されますので、注意しましょう。
(問)藤原氏による他氏排斥事件に関する記述として正しいのはどれか次の①~④から1つ選べ。
①藤原良房は阿衡の紛議によって関白の地位を確かなものとした。
②藤原良房は応天門の変によって源信を排斥した。
③安和の変で、源高明は源満仲の謀反疑惑を密告し、結果として源満仲は処罰された。
④菅原道真は自身の娘を宇多天皇の皇子に嫁がせたことが原因で、藤原時平の陰謀により大宰府に左遷された。
(答え)
④
(確認)
①阿衡の紛議で関白の地位を固めたのは藤原基経です。
②応天門の変によって排斥されたのは伴善男です。
③安和の変では、源満仲が源高明の謀反疑惑を密告しました。設問では両者の関係が逆になっています。
他氏排斥事件は摂関期の問題としてよく出題されますので、完璧にしておきましょう。