【化学基礎】結合の強さはどの順番?
化学を勉強する上で絶対に避けて通れない「結合」。
一言で「結合」と言ってもいろいろな種類の結合があり、それぞれ原子同士のつながり方が異なります。
もちろん、それに伴って結合の強さも異なるわけで…
今回はそんな結合についてのお話。
1.結合の種類
結合の種類は主に3つ
(1)共有結合
(2)イオン結合
(3)金属結合
物質というものは基本的にこの3つのどれかのパターンで結合しています。
そして、さらに特殊な結合として
(4)水素結合
(5)ファンデルワールス力による結合
という2つの結合があり、物質はこれらの5つの結合によって成り立っているというわけです。
強さの順位は
共有結合>イオン結合>金属結合、水素結合>ファンデルワールス力による結合
の順に弱くなっていくのですが、どうしてそうなるのかを結合の仕組みと一緒に考えていきましょう。
2.共有結合
その名の通り、「電子を」共有する結合の種類。
化学らしく説明すると、
OやC、Hなど非共有電子対を持つ原子同士に使われる結合のことです。
原子はそもそも(Hなどの例外はありますが)、基本的に一番外側の電子(最外殻電子)を8個もちたがる性質があります。
(オクテット説といいます。)
原子自体の持つ電子は、周期表からわかるように数が決まっているのですが
「どうしても自分の周りに8個の電子が欲しい…」
→誰かと協力して8個揃えればいい!
という発想に至った原子たちがこの結合になります。
O2、NH3、CO2あたりが代表でしょうか。
この原子たちはお互いの電子を共有することで成り立っており、お互いが「相手がいないと駄目」、な共依存タイプ。
代表の分子からもわかるように同じ元素同士からなることが多く、電子を完全に奪いきれるほどの力の差がないからです。
お互いに離れることが出来ず、一緒にいることでしか安定できない。
そのため共有結合はもっとも強く結びつくことになります。
3.イオン結合
今度は共有結合とは違って「電子が欲しい」原子と「電子を譲りたい」原子による結びつき。
先ほど述べた最外殻電子の話ですが、一番外側に8個あればいいのでわざわざ電子をもらってくるより手放した方が都合がいい場合もあります。
その場合、電子を誰かに譲りたい原子が存在することになります。
そこで電子が欲しい原子と、譲りたい原子が出会うことによってお互いwin-winの関係が成立するというわけです。
代表は、NaCl(Na+Cl–)、CaCl2(Ca2+Cl–×2)
電気的引力も働いてそれなりに強い力で引き合いますが、
この原子たちはイオン(Na+やCl–)の状態でも条件(水中etc)によっては十分安定できてしまうので
その時が来ればスッと離れることが出来てしまうため、共有結合よりは弱い結合と言えます。
4.金属結合
金属は全て+のイオンになりたがる、つまり電子を譲りたがっている原子たちの集まりです。
そんな原子たちの間を自由に動き回る「自由電子」が存在し、そのおかげで金属の塊として成り立っています。
しかし原子本人は別に電子を必要としていないので、正直電子が自分の前で途切れたって構いません。
隣と引き合ってるわけでもなければ(むしろ+同士なので電気的には反発)、間をつなぐ自由電子も要らない
結合が切れたって別にいいと思ってるわけです。
なのでイオン結合よりも弱い結合と判断します。
5.水素結合
今度は少し趣が変わって、電気的な引力がメインの結合になります。
先ほど共有結合とイオン結合の話をしましたが、実際はこのように白黒はっきりしたものではなく
原子がどれくらい電子を欲しがっているか(電気陰性度)に応じて
「どちらかといえば共有結合っぽい」
「割とイオン結合寄り」
という判断をします。
そのため、共有結合の中でも種類の異なる原子同士で結合している場合、結合手である電子対が若干どちらかに偏ることがあります。
電気陰性度の差が大きければ大きいほどその偏りは大きく、
特に有名なのがH2OとOH基。
Hは電子を必要とせず、Oは電子をものすごく欲しているので、電子対は限りなくOに偏り、
Hは+の電気を、Oは-の電気を帯びる状態に。
そんなH2O分子や、OH基がたくさんある状態では、自分以外の分子のO、Hと引き合います。
これがいわゆる水素結合と呼ばれるもので
イオン結合ほどハッキリと電気的な差がないため結合としては劣りますが
金属結合とは同じ程度の結合力と言えます。
6.ファンデルワールス力による結合
物質なら誰しもが持つ弱い引力のこと。
地球が引力で私たちを地面に引き付けるのと同様に、私たちもまた地球を引っ張っている力が存在します。
力の大きさは物質の質量に対して決まるため、原子レベルのサイズではあまり大した力にはなりません。
そのため、この中で最も弱い結合となります。
なので結合の強さは
共有結合>イオン結合>金属結合、水素結合>ファンデルワールス力による結合
となることがわかっていただけましたか?