縄文時代に使用された道具は意外にすごい!
縄文時代ってどれくらい長かったか知っていますか?
縄文時代の代表的な道具である縄文式土器を科学的に測定したところ、
およそ1万3000年前ほど前に始まっているということが明らかになっています。
その次の時代である弥生時代がおよそ2400年前に始まったと言われますから、
縄文時代は約1万年間にわたって続いていたということになります。
縄文時代はなぜ始まったのか。
縄文時代の道具について学ぶ前に、縄文時代はどうして始まったのかを知っておいたほうが
理解が深まると思います。
縄文時代が始まるころの日本は、更新世、つまり氷河時代と言われる時代で、
大陸と氷でつながっていました。
そのため、マンモスやナウマン象、オオツノジカなどの大型の生物が大陸からやってきて、
それらの動物を狩猟する生活を行っていました(旧石器時代)。
ところが、更新世が終わり、次の時代である完新世がはじまると、気候は温暖化が進み、
ナウマン象などは絶滅してしまいます。
代わりにイノシシやニホンジカなどの動きの素早い動物が多くなりました。
また、樹樹も針葉樹から落葉樹や照葉樹などに相が変化してくるようになります。
クリやクルミ、ドングリなど食べることのできる木の実が増えていくようになるのです。
それにしたがって、縄文時代の人々の暮らしも大きく変わるようになります。
暮らしが変われば、使用する道具も変化していく。
縄文時代の道具は、その時代の食べ物の変化に対応して進化した道具だと言えるでしょう。
土器の出現
縄文時代はいくつかの代表的な道具の出現によって特徴づけられます。
その代表的な道具が、縄文式土器です。
表面に縄の模様(縄文)をつけた焼き物のことを言いますが、
約1万年を通じて、どれも基本形は深鉢型のものです。
これは木の実などの植物性を煮るために底を深くしたと考えられています。
また、この縄文時代の土器の形態と模様の変化を基準にして、縄文時代は
「草創期」「早期」「前記」「中期」「後期」「晩期」の6期に区分されます。
狩りに必要な道具
次に代表的な道具は弓矢です。
これは前時代(旧石器時代)にナウマン象やオオツノジカなどの大型獣に対して
投げ槍や突き槍などの道具で狩猟していたのに比べ、
イノシシやニホンジカなどの動きの素早い中型獣を狩猟する道具の必要性が生じてきたためです。
弓矢の先端には石鏃(せきぞく)が使用されました。
また、それまで使用されていた打製石器を研磨して、磨製石器が生まれたのも縄文時代です。
縄文時代の道具もどんどんと進歩していったのですね。
魚を取るための道具
日本の海岸線は入江に恵まれているために、漁労(魚を獲って生活すること)も大きな割合を占めていました。
そのための道具も発達していくようになります。
縄文時代の食生活を知ることができる貝塚では、多くの道具も発見されました。
例えば、漁労の道具である石器や骨角器が掘り出され、縄文時代の漁について物語っています。
神奈川県にある夏島貝塚では、約8500年前の釣り針が発見されました。
(骨格器とは、動物の骨、角、牙、殻などを加工して作られた道具のことで、
縄文時代の人々はシカの角やイノシシの四肢の骨を道具として加工していたようです。)
航海だって行っていた縄文人
縄文時代の人々は、海を渡る道具も作っていました。
大きな木を火で焦がしながら石器を使ってくり抜いて作られた丸木船と呼ばれる船で、
大きいものでは全長約7メートルを超えるものが発見されています。
縄文時代の丸木舟は全国で160艘ほどが見つかっており、この時代、
すでに交易や漁労が盛んに行われていたことを物語っています。
縄文時代の採取生活
縄文時代の食生活については既に述べましたが、
木の実の採集も炭水化物を採るのに不可欠でした。
木の実を砕いたり、すり潰すための道具として、石皿や磨製石器が使用されていました。
また、山芋など根菜類を採取するために、土掘り用の道具も作っていました。
土掘り用の石鍬などで、土を掘り起こしていたと考えられています。
まとめ
縄文時代の人々は、主に狩猟・漁労・採取を行って暮らしていました。
その暮らしを支えるために道具が生まれ、発達していったのです。
狩猟のために生まれた道具が弓矢。
漁労のための道具が石器や骨角器などで作られた釣り針や銛。
採取のための道具が石皿や磨製石器。
そしてそれらの調理に使用された道具である縄文式土器。
生活様式がさまざまな道具を生み出していったのです。
最後におさらいとして縄文時代の道具に関する質問をしてみましょう。
問)下の道具のうち、主に縄文時代に使用された道具を答えてください。
1)縄文式土器
2)打製石器
3)突き槍
4)骨角器
答え
1)◯ 縄文時代の由来は土器につけられた文様(縄文)にあります
2)☓ 打製石器そのものは縄文時代にも使用されていましたが、磨製石器が代表的な石器となります。
3)☓ 突き槍も石器時代のもの。大型獣を狩猟するために使用されました。
4)◯ 釣り針などは骨角器で作られていました。
余談
縄文時代の道具はそもそも縄の模様ということですが、この時代に縄があったことも驚きですね。道具の進歩から縄文時代を眺めてみると、当時の生活が想像できませんか?
歴史は興味が第一です。縄文時代のことなんて想像できない!とは言わず、道具からでも良いので資料集を眺めてみては!?