受動態の基礎~受動態の形と意味を覚えよう!~
動作を行う人やモノを主語にした英文を能動態といいますが、これとは反対に動作を受ける人やモノを主語にした英文を受動態といいます。
能動態で表現できる場合に受動態にする必要はありませんが、受動態が用いられる文はよくあります。ではなぜ、受動態で表現するのでしょうか?
ここでは、受動態の基礎として、作り方や意味を解説していきたいと思います。
受動態の形と意味
受動態の基本形
S+be動詞+過去分詞
受動態は、能動態の基本文型であるSVOから作られます。
能動態を受動態に書き換える手順は簡単です。
①主語(S)の位置に目的語(O)を入れ、動詞(V)をbe動詞+過去分詞に変える。
受動態の訳し方は「~れる」「~られる」です。
したがって、能動態である「~は…をVする」を「…はVされる」という受動態になります。
【ポイント】
目的語(O)がない文に受動態はない。
第1文型(SV)や第2文型(SVC)には目的語(O)がないので、受動態を作ることはできない。
②動作主である主語(S)はbyの後ろに置いて「~によって」を表し、be動詞+過去分詞の後ろにつける。
この時、主語(S)が代名詞の場合、byは前置詞なので目的格に変えること。
【例文】
He loves her. 「彼は彼女を愛している。」
S V O
この能動態の文を手順にしたがって、受動態に書き換えてみましょう。
①主語(S)のheの位置に目的語(O)のher(=she)を入れる。
②動作主である主語(S)のheを目的格himに変えてby himをbe動詞+過去分詞の後ろにつける。
She is loved by him. 「彼女は彼によって愛されている。」
これで受動態が完成しました。
by himをつけることで「彼によって」が強調された感じになりますね。
つまり、受動態はby~をつけると動作主が強調されることになるのです。
受動態の過去形の場合はbe動詞を変えるだけです。
She was loved by him. 「彼女は彼によって愛されていた。」
受動態の否定文はbe動詞の後ろにnotを付けるだけです。
She is not [isn’t] loved by him. 「彼女は彼によって愛されていない。」
受動態の疑問文は、be動詞を使った疑問文と同じように、文頭に持ってくるだけです。
Is she loved by him? 「彼女は彼によって愛されていますか。」
【ポイント】受動態は、一般動詞ではなくあくまでもbe動詞の文であることに注意!
【例題】
次の文を受動態に書き換えてみましょう。
(1) My sister wrote the book.
(2) He runs a shop.
【答】
(1) The book was written by my sister.
「その本は私の妹によって書かれた。」
(2) A shop is run by him.
「店は彼によって経営されている。」
第4文型(SVOO)の受動態
それでは、元の能動態が第4文型(SVOO)の文を受動態にする場合は、どうすればよいでしょうか。
【例文】
She told me her name. 「彼女は私に彼女の名前を伝えた。」
S V O O
目的語(O)はmeとher nameの2つあるので、受動態も2つのパターンが作られます。
作り方は受動態の基本形と同じです。
① I was told her name by her. 「私は彼女によって彼女の名前を伝えられた。」
② Her name was told to me by her. 「彼女の名前は彼女によって私に伝えられた。」
2つある目的語のうち後ろの目的語が主語(S)になった場合は、残された前の目的語(O)の前に前置詞toや for,of などが入ることがあります。
【ポイント】
前置詞がtoになるかforになるかは動詞によって決まる。
give型(teach,tellなど)の動詞ではto
buy型(make,cookなど)の動詞ではfor
例題
次の文を受動態に書き換えてみましょう。
(1) He lent me money.
「彼は私に金を貸した。」
(2) She asked me a question.
「彼女は私に質問をした。」
【答】
(1) ① I was lent money by him.
② Money was lent to me by him.
目的語(O)が2つあるのでそれぞれを主語にして受動態に書き換えられます。
(2) A question was asked of me by her.
このaskやbuy型の動詞では人(ここではme=I)を主語にした受動態は、通常作ることができません。
動作主by~の省略
by~(「~によって」)をつけることで受動態の動作主が強調されますが、動作主が明らかな場合や不明の場合にby~(「~によって」)が省略される文もあります。
【例文】
I was born.
「私は生まれた。」
bornはbear(「~を生む」)の過去分詞なので、この文も受動態ですが、動作主は当然お母さんですから、by my mother は不自然です。
French is spoken in Canada.
「フランス語はカナダで話されている。」
動作主が特定できない場合にもby themなどは省略されます。
【ポイント】
元の能動態の文の主語がtheyやwe、peopleなど一般の人々の場合には省略される。
受動態は主語が不明であったり、隠したい場合に用いられることが多いため、むしろby~は省略されるのが普通。
【例題】
次の文を受動態の英文にしてみましょう。
(1) その雑誌は月に2回発行されている。
(2) 彼女は留学するという話だ。
【答】
(1) The magazine is published twice a month.
(2) It is said that she will study abroad.
この例題の英文は受動態の典型的な用法ですが、このように受動態を用いる意味は、主語が不明の場合やあえて言いたくない場合なのです。