二クロム酸カリウムの半反応式はこうやって作る|化学勉強法
ポイント
- 液性が酸性のとき半反応式は Cr2O72- → Cr3+ から作れると暗記する
- 液性が中・塩基性のとき半反応式は Cr2O72- → CrO42- から作れると暗記する
- Oが足りなかったら、H2Oで帳尻あわせ
- Hが足りなかったら、H+で帳尻合わせ
- 中・塩基性のときはH+を全て消すようにOH–を両辺に足す(H+ + OH– → H2Oになる)
- 最後に両辺の電荷のつりあいを電子(e–)で帳尻合わせば半反応式が完成する
問題
二クロム酸カリウムの半反応式を酸性下と中・塩基性下それぞれ求めろ
考え方
- まずは酸性下のときを考えてみよう。酸性のときの半反応式は Cr2O72- → Cr3+ で作れると暗記していたので、Cr2O72- → Cr3+ を書く。
- 左辺にはCrがふたつあるのに対して、右辺は1つしかないから右辺を2倍にして帳尻合わせしよう! Cr2O72- → 2Cr3+
- んー。左辺はOが7つあるけど、右辺にはOがひとつもないからH2Oで帳尻合わせしよう!
- Cr2O72- → 2Cr3+ + 7H2O と書く。これで、Oの数はそろった。
- うわ、今度は右辺にHが14個もあるよ! H+で帳尻合わせだ!
- Cr2O72- + 14H+ → 2Cr3+ + 7H2O これでHの数もそろった。
- あとは、両辺の電荷のつりあいだけど、左辺は、Cr2O72- が1個とH+が14個だから
- 右辺はCr3+が2個とH2Oが7個だから
- さらに、e–は1個で-1だから、両辺の電荷を揃えるには、左辺にe–を6個追加してあげれば良い!(12-6=6だから)
- よって半反応式は、Cr2O72- + 14H+ + 6e– → 2Cr3+ + 7H2O できた!!!!!
- 次に中・塩基性下のときを考えてみよう。中・塩基性のときの半反応式は Cr2O72- → CrO42- で作れると暗記していたので、Cr2O72- → CrO42-を書く。
- 左辺にはCrがふたつあるのに対して、右辺は1つしかないから右辺を2倍にして帳尻合わせしよう! Cr2O72- → 2CrO42-
- んー。左辺はOが7つあるけど、右辺にはOが8つもあるからH2Oで帳尻合わせしよう!
- Cr2O72- + H2O → 2CrO42- これで、Oの数はそろった。
- うわ、今度は左辺にHが2個もあるよ! H+で帳尻合わせだ!
- Cr2O72- + H2O → 2CrO42- + 2H+ これでHの数もそろった。
- けど、まてよ。H+って酸性のときにあるもので、塩基性のときはOH–だよな。だから、2H+がなくなるように2OH–を両辺に加えてあげよう。(H+とOH–は1:1でH2Oに変身する)
- Cr2O72- + H2O + 2OH– → 2CrO42- + 2H2O これで、H+は消えた!
- 両辺H2Oを引いて簡単にしよう。Cr2O72- + 2OH– → 2CrO42- + H2O
- あとは、両辺の電荷のつりあいだけど、左辺はCr2O72-が1個とOH–が2個だから、
- 右辺はCrO42-が2個とH2Oが1個だから、
- つまり、両辺の電荷はすでに揃っている!
- よって半反応式は、Cr2O72- + 2OH– → 2CrO42- + H2O できた!!!!!
どうでしたでしょうか。半反応式は最初の暗記さえしてしまえば、あとは機械的に求めることができます。
しっかり流れを覚えておきましょう。
また、中・塩基性の半反応式ではe–が出てきませんでした。
これは、つまり相手からe–を奪わないということです。e–を奪って相手を酸化させるものを酸化剤と呼ぶわけでしたが、二クロム酸カリウムは中・塩基性下ではそのような動作をしないことから、
二クロム酸カリウムは酸性下でしか酸化剤にならないということもわかります!
ちなみに
最初に酸性下のときと中・塩基性下のときでそれぞれ暗記するよう書きましたが、なんで半反応式が変わってくるのかは、以下の投稿を参考にしてください。