設題者だって間違えたくない?!だって人間だもの!
設問はいつだって日本語
10年ほど前になりますが、お茶の水女子大学名誉教授で数学者の藤原正彦さんが上梓された『国家の品格』(新潮社)という本がベストセラーになりました。内容を掻い摘むと「もっと国語を大事にしなさい」という内容が書かれてあったと記憶しております。
殊、受験においては全くその通りだと思います。受験での英語は英語力より日本語力が試されているからです(他教科にも当てはまります)。
言い換えれば設問=日本語で、日本人が日本人向けの設問ということです。日本語がしっかり読み取れれば、即点数とは行きませんが、得点に近くなるのは間違いありません。
少し脱線しますが、たとえば「I love you.」。実にすっきりしていませんか。日本語にしたらどうでしょうか。「愛しています―」……噛んでしまいそう、直訳「私はあなたを愛しています」では重たくってフラれそうですよね。
でも「Love」とだけはいいません(いう場合もありますが、ここでは割愛します)。文脈上省略するにしても「誰が/誰を」の何れかが入ります。以上の例を取っても短くはっきりしているのが英語の特徴です。
英語は科学的?!
「はっきりしている」とのは科学的だからです。それゆえ構造で覚えていくべきなのです。
それを根拠に「英単語は覚えるな!」という類の文献に出会うことがをあります。しかしそれは少し不安ですよね。日本語と英語を結ぶシナプスのようなものがない状態ですから。文脈上分からなくても大丈夫なこともありますが、それを予想して……というのは結構しんどく、余裕のある人しかやれないんじゃないかなというのが率直な感想です。つまり程度の問題です。
設題者だって人間、リスクは回避したい
では具体的にどのくらい覚えればいいでしょうか。英単語帳一冊+問題集で分からない単語、これだけで事足ります。単語帳の上級編等まで行かずともその部分を押さえておけば大丈夫です。
結局設問に用いる文章も何らかの文献から引用されているに過ぎません。これは国語でも同じですが、たとえば「宇宙について」、「ハリウッドについて」の見出しがあったとき、答えは「宇宙について」「ハリウッドについて」となります。
そして大事な部分は設問と選択肢。ここは存外容易な英作文に言い換えるなどして戸惑わせますが、シンプルなものこそ、一番答えに近いです。これには訳があって、設題者は問題と同時に答えを作成するのですが、このとき間違いを敢えて作る作業も行っているのです。その場合、正しいを否定するか、余分な文飾で間違いにするか以外方法はありません。逆に間違いの否定は正しいとはいいきれない、これは英語の明快さも一因となっています。以下へ少し補足します。
I don’t love you. これだけなら嫌いかどうか分からないです。
I don’t love you, but I don’t hate you. でもhateは否定されないかもしれませんよね。
加えて設題者は誤って解が2つある状態を絶対に避けようとします。つまり間違えたくないのです。だから選択問題では明らかな間違いしか作らないのです。
焦らず構造を掴すこと、設問と選択肢くらい分かるように英単語を覚えること。英作文もそれで十分対応可能です。簡単な単語で短く伝えることを心掛ける、“メタボ”な文章は読むのも疲れます……あっ、いかん、気をつけないと、ですね。