3乗の多項式の因数分解のやり方とは?まずは最初の解を見つけよう!
・3乗多項式の因数分解をマスターしましょう。
因数分解って面倒ですよね。さんざん苦労して2乗の多項式の因数分解をマスターしたかと思ったら次は3乗の多項式!しかもさっぱり解き方がわからない!
そんな人はここで3乗の多項式の因数分解の方法を学んでいきましょう。慣れれば簡単です。ポイントは以下の二つ!
- ポイント1:次数を下げるために適当な数値を代入する
- ポイント2:代入する数値として最適なものを見つけ出す
では始めましょう!読みながら実際に式を書いたりすると理解しやすいですよ!
・3乗の方程式になると因数分解の難易度が大幅UP!
2次方程式の因数分解は恐らくみなさん慣れてきた事でしょう。しかし3次方程式の因数分解はそう簡単にはいきません。何故なら3乗になったために答えが見つけづらくなるからです。
例えば以下の式を見てください。
・・・①
この式を展開してみましょう。既に因数分解された式を展開していくのは比較的簡単です。展開すると以下のようになります。
・・・②
では今度は逆にこの3乗の多項式から因数分解をしてみてください。
・・・急に難しくなったと思います。これが3乗の因数分解のいやらしいところで、次数が一つ上がっただけで急激に難易度が上がるのです。今回はこの解き方を見ていきましょう。
・3乗式の因数分解は、まず一つ解を見つけて2乗式の因数分解に持ち込もう!
ではこの3乗の多項式をどう因数分解するのか。考え方は単純で、3乗の因数分解が無理なら2乗の因数分解へと変化させよう(次数を下げよう)と考えればよいのです。
その方法は、とにかく勘に従って1つ数字を入れてみるというものです。
例えば、上記の②の3乗多項式にx=1を代入してみます。するとどうなるか。
左辺の値は=0となり、右辺と一致します。という事は左辺の3乗の方程式は因数分解すると必ずx=1を一つの解として持っているという事になります。
よって②の式は以下の式へと変換できます。
ここでが2次方程式になるのは、元の式が3乗の方程式だからです。の2次方程式との1次方程式をかけるとあらゆる3次方程式に対応することが出来ます。
ここでこの式を展開してみましょう。すると以下のようになります。
この3乗の方程式は元の方程式②と完全に一致するはずです。ですのでそれぞれの次数の係数が完全に一致します。すなわち
(の係数)
(の係数)
(の係数)
(定数項)
という事がわかります。これらからabcの値がなんなのか必ずわかるはずです。
今回は計算を省略しますが、計算結果はa=1、b=-2、c=-8となるので元の式はこのように変換されます。
あとは2乗の方程式となったを因数分解するだけです。因数分解の結果
となり、解にたどり着くことが出来ます。
・最初に代入する数値を見つけるのに大切な事とは?
いかがでしたでしょうか。ここで重要な考え方はまず、次数を下げようとすることです。3乗の因数分解が難しくても2乗の因数分解ならなんとかなります。
難しいのは、ここで次数を下げるためにどんな数字を代入すればいいのかということ。実は見つけ方の法則があります。以下の定理が成り立つ事を応用しましょう。
【定理】
整数を係数に持つ多項式P(x)の零点αが有理数ならばそれは
a=±p/q
p:P(x)の定数項の約数
q:P(x)の最高字数の係数の約数
という形で示される。
というものです。これにより3乗の多項式の解を一つ、簡単に見つけ出すことが出来ます。
例えば②を使おうと思った場合、まず定数項の約数pは、定数項が8なので
p=±1,±2,±4,±8
一方最高次数の係数の約数は、最高次数の係数が1なので
q=±1
となります。よって解αの候補は
α=±1,±2,±4,±8
の8通りとなりますのでやりやすそうなのから順に代入していきましょう。
P(1)=1-3-6+8=0
早速、解が一つ出てきました。後は前述した通り、2次方程式と組み合わせにして因数分解すればOKです。
今回は早急に解が出てきてしまいましたが2つ目、3つ目の計算で解が出てくることもあります。しかしいずれにせよ上の定理を使えばどこかには解が潜んでいるので根気よくやってみてください。
さてここで「この定理を使ったら2次方程式の因数分解を使わなくても3つの解が一気に求められるんじゃないの?」と思った方、実に鋭い。
実際そのようにやっても3つの解は全て求められます。ただし注意点が二つあります。
1つ目の注意点は、今回は8通りで済みましたが定数と最高次数の係数がもっと大きくなってくると解αの候補は鬼のように増えていきます。それなら2次方程式に落とし込んだ方がはやいでしょう。
もしそこまで候補が多くないなら一つ一つ計算してもいいかもしれません。そこは臨機応変に対応してください。目安としては候補が10個未満なら定理を用いて計算した方がはやいかもしれません。
2つ目の注意点は、重解が発生した場合に気付けるかという事です。例えばx=1が解として二つ発生した時、候補から絞り込んでいくスタイルだと重解に気づけない事が多いです。
ですので個人的には安全性の高い、2次方程式に落とし込むという手法をお勧めします。
・アウトプット問題
では次の問題の因数分解にチャレンジしてみてください。1つ目の解を見つけるのが肝ですよ。見つけ方のヒントは上に書いた事を参照してください。
・・・③
【以下、解説】 ※必ず一度自分で解いてみてから解説を読んでください!
まず最初の解αを見つけましょう。
定理に従えばp=±1±2±3±6 q=±1
よってαの候補は
α=±1±2±3±6
これを順に試していくと
①α=1の時
1+6+11+6=24≠0
よりα=1は答えではありません。
②α=-1の時
-1+6-11+6=12-12=0
よりx=-1が一つの解として成立することがわかりました。
よって式③は
と書き換えられます。これを展開すると
となるので係数を比較すると
が成り立ちます。これらからabcはそれぞれ a=1 b=5 c=6
であるとわかります。よって式③は以下のように書き換えられます。
の因数分解は簡単でしょう。以下の式になります。
よって式③を因数分解した結果は以下のようになります。
以上です。