不等式中に絶対値が出てきたらどうすればいいの?
はじめに
数学の問題を解いているとたまに| |に挟まれた数字、文字を目にすることがあると思います。これは絶対値というものです。今回はこの絶対値について話していきましょう。具体的には方程式、不等式に絶対値が出てくる問題を解けるようになりましょう。難しそうですがすぐにできるようになると思います。
絶対値の外し方
絶対値とはのような値のことです。では一体この絶対値記号の外し方はどうすればいいのでしょうか。答えは簡単です。外し方は、絶対値記号の中の値が正の時はそのまま外れ、負の時は中の値にをかけることで外れます。の外し方は、はそのままとなります。つまり絶対値は必ず0以上の値になります。別の言い方をすれば「絶対値とは数直線上での0と絶対値記号の中の値との距離」になります。絶対値の外し方について分かっていただけたでしょうか。
では絶対値を外さないと解けない方程式、不等式について例題を交えて考えてみましょう。
絶対値を含む方程式の解き方
例題 を解け
この絶対値を含む方程式を解くには3つの手順があります。
STEP1 式中の絶対値記号の中の値が0以上の時と負の時で場合分けをする
STEP2 それぞれの場合に分けることで絶対値を外す (上で述べた絶対値の外し方に基づいて外す)
STEP3 それぞれの場合で式を解く
以上の3つです。では上の例題を解いてみましょう。
STEP1 はのときに以上で、のときに負となる
STEP2 のときとなる (中身が以上の絶対値の外し方はそのまま外す)
のときとなる (中身が負の絶対値の外し方はをかけてから外す)
絶対値が外れてただの方程式になりました。
STEP3 のときよりとなる
のときよりとなる
以上より答えはとなります。このように絶対値を含む方程式の問題ではまず場合分けをして絶対値を外してからそれぞれの場合について考えていけば良いのです。これで方程式中の絶対値の外し方を理解していただけたと思います。
絶対値を含む不等式の解き方
例題 を解け
不等式中の絶対値の外し方も方程式の時と同じように3つの手順に従って絶対値を外していけば良いのです。
STEP1 はのときに以上で、のときに負となる
STEP2 のときとなる (中身が以上の絶対値の外し方はそのまま外す)
のときとなる (中身が負の絶対値の外し方はをかけてから外す)
絶対値が外れてただの不等式になりました。
STEP3 のときよりとなる
つまり
のときよりとなる
つまり
以上より答えはとなります。解き方は方程式の時と全くと言っていいほど同じであることがわかると思います。絶対値の問題なんて絶対値記号を外せば普通の方程式、不等式になるのです。
最後にもっと難しい問題について考えてみましょう。難しいと言ってもこれまでの内容を理解できていればきっと解けると思います。
絶対値記号が2つある場合の方程式・不等式の解き方
最後は絶対値記号が2つある場合についてです。この場合の絶対値の外し方もこれまでと同じです。方程式も不等式も絶対値の外し方に関しては全く同じなので今回は次の方程式の例題について考えてみましょう。
例題 を解け
これについても今までに習った3つの手順を応用して一つずつ絶対値を外していけば良いのです。具体的にはSTEP1STEP2を2回繰り返すことで2つの絶対値記号を外すのです。そしてSTEP3を行います。
STEP1 はのとき以上で、のとき負となる
STEP2 のときよりとなる (中身が以上の絶対値の外し方はそのまま外す)
のときよりとなる (中身が負の絶対値の外し方はをかけてから外す)
これで1つ目の絶対値が外れました。
STEP1 のときは負となり以上となる場合はない
のときは負となり以上となる場合はない
STEP2 のときとなる (中身が負の絶対値の外し方はをかけてから外す)
のときとなる (中身が負の絶対値の外し方はをかけてから外す)
ここで2つ目の絶対値が外れました。
STEP3 のときとなるから不適
のときよりとなる
以上より答えはとなります。このように一見難しそうでも落ち着いて絶対値を外し方を思い出せば解くことができる問題は多いです。どんな問題でも絶対値の外し方は基本的に同じということです。
最後に大事なことなので絶対値を外して方程式、不等式と解くときの3つの手順をもう一度言います。
STEP1 式中の絶対値記号の中の値が0以上の時と負の時で場合分けをする
STEP2 それぞれの場合に分けることで絶対値を外す
STEP3 それぞれの場合で式を解く
これをしっかり理解して覚えておいてください。絶対値を含む問題が全然怖くなくなりますよ。