ねじれ国会って何?与党と野党の関係性とは|現代社会勉強法
ねじれ国会とは?
皆さんは「ねじれ国会」という言葉を耳にしたことがありますか?
ねじれ国会とは、
「衆議院では与党が議席の過半数を占めているのに、参議院では野党が議席の過半数を占めている状態」
のことです。
「ねじれ国会」は、もともとはマスコミが使い始めた単語です。
しかし今では、この語は一般的に使われるようになっています。
ねじれ国会の影響
ねじれ国会になると、与党の力が弱まり、野党の力が強まります。
そのため、政治にとても大きな影響が出ます。
ねじれ国会になって最も影響を受けるのは、国会での法案審議です。
法案は衆議院と参議院の両院が可決して初めて成立します。
衆参両院ともに与党が過半数を占めている状態では、与党が提出した法案は衆参両院ですんなり可決されます。
しかしねじれ国会だとそうはいきません。
衆議院で可決された法案が、参議院で否決される可能性が出てくるのです。
ねじれ国会と衆議院の優越
とはいえ、参議院を押さえている野党の力が、衆議院を押さえている与党の力を上回ることはありません。
なぜなら、衆議院の方が参議院よりも強い権限を持っているからです。
これを衆議院の優越と言います。
首相の指名、予算の議決、条約の承認については、衆議院の議決が優先されます。
衆議院で第一党となった政党が与党となることがほとんどなのは、首相指名は衆議院が優先されるからです。
(複数の政党が連立を組んでいる場合はこの限りではありません。
細川護熙首相(1993.8.9-1994.4.28、旧日本新党)や村山富市首相(1994.6.30-1995.8.8、旧社会党)は少数政党の出身でした。)
法案については、参議院で否決されても、衆議院で出席議員の2/3以上で再可決すれば成立します。
つまり、衆議院で与党が2/3以上の議席を持っていれば、参議院による法案の否決を「なかったこと」にできるのです。
なお衆議院が優越している理由は、
①参議院の任期(6年)より衆議院の任期(4年)の方が短く、
②衆議院には解散もあるので、
参議院より衆議院の方が国民の意思を反映しやすいからです。
ねじれ国会と「民意」
議会制民主主義では、国会議員は民意の代表者です。
国会の議決は代表者たちが示した「民意」であり、最大限尊重されなければなりません。
ねじれ国会で衆議院と参議院が異なる「民意」を示したら、両方とも尊重されなければならないのです。
したがって与党は、衆議院で再可決に必要な2/3以上の議席を持っていても、再可決をできるだけ避けることが望まれます。
衆議院による法案の可決が「民意」なら、参議院による法案の否決もまた「民意」です。
ですから与党は、参議院が決めたことを衆議院で簡単にひっくり返すわけにはいかないのです。
ねじれ国会の功罪
ねじれ国会では、与党は野党の協力なしに法案を成立させることが難しくなります。
そのためねじれ国会では、与党と野党のあいだで活発な議論が行われるようになります。
これはある意味、議会制民主主義の理想の姿です。
しかし同時に、法案の可否がなかなか決まらず、政治が停滞してしまうという問題も生じます。
ねじれ国会を功とするのか罪とするのか。
それは国会議員一人一人の意識、そして国会議員を選ぶ国民一人一人の意識にかかっているのです。